トルコの食について
トルコ料理は中華料理、フランス料理と並ぶ世界の三大料理の一つですが、残念ながら日本ではまだ知られるところではありません。都内でもトルコレストランの数が増えています。六本木や明治神宮前、アメ横あたりに本場トルコの味と称したケバブ屋も軒を連ねています。日本人に「トルコの食のイメージは?」との問いに、「ケバブと伸びるアイスクリーム」の二つを挙げる人が多いです。しかし、長い歴史と独特の伝統に育まれたトルコは、「食の宝庫」でもあり、その食文化は奥深いのです。
【トルコの食文化】
トルコ料理はイスラム世界とオスマン帝国の影響を大きく受け、イスラム圏の中でも豊かで洗練された食文化と料理体系をなしています。15世紀末のオスマン朝最古の年代記によると、当時のご馳走はケバブと砂糖程度と記されています。16世紀に入り、食材の種類が飛躍的に増え、それに伴いインドや東南アジアからの香辛料も数多くもたらされることとなり、料理の「インフラ」がいっきに出来上がることとなりました。一般庶民の食卓にもその豊かさが反映し、18世紀にはトルコの食文化が料理書を生むほどに成熟しています。
【トルコ料理の特徴】
◎ 「魚」を好む人が多いが、「羊肉」を中心とした肉料理
トルコはイスラム教国であるため豚肉は食べません。気候風土も肉牛の飼育に適さず、中央アジアの食文化である羊を中心とした肉料理が多めです。
◎ ヨーグルトやナッツ類が料理に使われる

◎ 主食は小麦粉と米

◎ 地中海、黒海などから採れる海産物が使われる
日本と同じく四面環海(黒海、地中海、エーゲ海、マルマラ海)のため、海産物を豊富に取り入れた料理が多めです。レストランの入り口には魚が並べられていて食べたい魚を選ぶことがでます。
今日のトルコ料理は材料と調理法によって分類されている。料理書の中味を見るとトルコ料理が3分の2以上を占め、残りの3分の1が洋風料理となっているが、一般家庭では作られることは少ないと言われている。しかし、近年のトルコの急速な経済成長、生活様式の変化、意識変化に伴い、トルコの既存食文化に海外からの食が急速に踏み込みはじめ、今のトルコの食文化・食生活は、かつての日本が経験したように着実に様変わりしつつある点は見過ごせない。
【お酒について】

【トルココーヒーについて】

トルココーヒーの面白いところは、飲み終わった後のカップにソーサーをかぶせてひっくり返し、カップの底に残った粉の状態によって飲んだ者の運勢を占う「コーヒー占い」がある。
<トルコ食事情と動向を知る上で 〜MSA - The Culinary Arts Academyの取組〜>
イスタンブールに生徒数が600人を超える料理学校がある。トルコ初という135名が入れる「アイアンシェフ対決」ができそうなキッチンスタジアムも備えている。あえて、ここの学校が実施している料理コース(プロ養成向け)を以下に紹介したい。「今のトルコの食事情と動向」を知る上で有効と考えるからである。ここの学校の売りとなっているプログラムに「東地中海&トルコ料理」のプロのスキルアップを図る2週間コースがある。学ぶべき5つの理由を挙げている。
(1)東地中海&トルコ料理は世界で最も傑出した料理であること。東地中海料理は地中海の食文化の中で最も重要な柱の一つを形成。
(2)東地中海の食文化はオスマン帝国の遺産によって、エーゲ海から北アフリカ、中東、メソポタミアに至る広範な食文化の影響を取り込み深く息づかせている。
(3)イスタンブールの王室料理であること。オスマン帝国は、地中海系ユダヤ人はじめ、アルメニア、イラン、アラブ、中央アジア、ギリシャの人たちの多様な食文化とも深い関わりと影響力をもっていた。
(4)トルコは東洋と西洋の結節点として、同時にスパイスルートの終点となるトルコのロケーションは極めて重要。
(5)アナトリア料理には料理の最も基礎となり影響力を有する料理技術があり、その技術は今日も使われている。
MSAは東地中海&トルコ料理を学ぶことは昔から伝わる調理・料理技術の習得ができることで、それらのノーハウや技術を今の料理に活かすことができるとしている。MSAは一般向けには「伝統的トルコ料理」「アナトリアの忘れ去られたレシピ」「トルコの伝統的なお酒・ラクの楽しみ方」「トルココーヒー、チャイの美味しいいれ方」・・・といった様々なプログラムを実施している。ここから、なんとなく今のトルコの食事情を鑑みることができる。
是非、トルコを味わっていただきたいと思います。