イチジク / Figs

image

聖なる果実


イチジクの栽培の歴史は、人間の歴史と同じくらい古くまで遡ります。古代文明では多産の象徴であり、様々な聖典で天国の果実と呼ばれているイチジク。その原産国は、何を隠そうトルコです。主だった宗教で象徴的な意味合いを持つイチジク、その果実と木の生長には、トルコのエーゲ海沿岸部が生態学的に最も適しています。コーランの中で預言者モハメッドは次のように言っています。:「天国へもっていく木を選ぶ権利が私にあるならば、イチジクの木を選ぶだろう」。さらに、コーランにはこう書かれています。「イチジク、オリーブ、ナツメヤシの木が立っているところにいなさい。」旧約聖書でも、しばしばイチジクについて言及し、「イチジクの木陰に座りその果実を味わうことは、平和な世界そのものだ」としています。ユダヤ教でも、イチジクは祝典の伝統的な食べ物であり、また聖書では天国の聖なる庭園の果実と言われています。イチジクは典型的な地中海性気候の果物で、トルコのエーゲ海沿岸部では種類も多種多様です。それは、この地域が、他のどんな場所よりもイチジクの生育に必要な陽光に恵まれていることの現れです。

朝食、デザート、薬、化粧品に


高カロリーでミネラル豊富、栄養価が高い干しイチジクには、さまざまな用途があります。ドライでも生食でも、時間帯問わず美味しく楽しく食べることができる果実です。一方、朝食シリアルやデザート、料理、その他あらゆるものに入れて独特の風味を加えることができます。形の良くないイチジクジャムに加工したり、廃棄部分からはエチルアルコールを作ることができます。エチルアルコールを生成する過程で取り除かれたイチジクの種は、染料、化粧品、製薬産業に活用されます。

健康と食欲のために


人間の健康に対して奇跡のような効用を持つトルコの干しイチジクは、とりわけ天然で美味しく健康的な果実です。イチジクはビタミンA、B1、B2を含み、タンパク質とミネラルが豊富です。カルシウムの含有量が牛乳より多いため、骨の病気や形成不全の場合に摂取することが推奨されます。また、ペクチンを含んでいるので腸の有毒物質を取り除いたり、血中コレステロールの値を下げたり、血中糖度の急上昇を防ぐなどの働きがあります。さらにイチジクにはビタミンに加えて鉄分が多く含まれるため、妊娠中の女性や小さな子供、貧血気味の人に有効です。イチジクに含まれるベンズアルデヒトは、抗がん作用があることも知られています。イチジクに含まれるベンズアルデヒドとグルコースは、がん細胞の成長を妨げます。

生産


トルコは、世界最大の干しイチジクの生産・輸出国で、イチジクの栽培面積は3万5,000ヘクタールにのぼります。世界のイチジクの60%を生産するトルコでは、エーゲ海沿岸部で収穫されたイチジクの約70%を乾燥して使用します。イチジクを乾燥させると、保存期間が延びるうえ、栄養価が向上します。生イチジクの糖度は約12%ですが、干しイチジクにすると約50%にはね上がります。近年のトルコの生産高は4万5,000~6万トンであり、その75%~80%が輸出されています。トルコの輸出イチジクの主な品目は、極上干しイチジク(extra dry fig)と最高級干しイチジク(first class dry fig)でです。トルコの輸出イチジクの80%以上がEU諸国向けで、第1位の輸出先がドイツ、次にフランス、イタリア、スイスと続きます。

栄養成分表
100g中の栄養素
・エネルギー 908kj / 217kcal
・たんぱく質 4g
・炭水化物 55.3g
・脂質 1.2g
・食物繊維 6.7g
・カルシウム 138mg
・鉄 4.2mg
・マグネシウム 91.5mg
・リン 163mg
・ビタミンB1 0.073mg
・ビタミンB2 0.072mg
・ビタミンB6 0.12mg