トルコについて

(1) トルコ概要
正式国名 トルコ共和国(Republic of Turkey)
国土面積 78万km2(日本の2倍)
地 勢 ヨーロッパとアジアの両方に跨がり、東西の文化・経済の結節点。
EU (ギリシャ、ブルガリア)、黒海を経てロシア、中東(シリア、イラン、イラク)、コーカサス(グルジア、アルメニア)に接する。
人 口:7,874万人(2015年)。世界17位。
    独(8100万)より少なく、仏/伊/英(6300万)より多く、ポーランド(4000万)の倍の人口。
    過去3年の年平均人口増加は約100万人。増加率平均+1.3%。
首 都:アンカラ(515万)。経済都市はイスタンブール(1438万、年増加率+1.8%)
民 族:トルコ人が大半。東南地域にクルド人。
言 語:トルコ語。ウラル・アルタイ語系で中央アジアの言語と類似。
教 育:義務教育は2012年に小・中・高の12年 (6~18歳) に延長。
    高校・大学の上位レベルを中心に英語バイリンガル教育。日本語学科も増えている。
    大学の数は過去9年で倍増 (2002年: 76 ⇒2011年: 157)。25歳以上で人口に占める大卒比率は12.3%(2011年)。


◇ 経済的・政治的にはヨーロッパの一員として活動
EU加盟へのプロセスを続けている。加盟承認はEU側に。
ビジネス環境はEU並みで、
(1)関税同盟あり
(2)EUからの補助金/融資あり
(3)諸制度をEU基準にあわせ改定
(4)EU企業の投資が進んでいる

◇ 民族のルーツは中央アジアで、国土の95%がアジアのアナトリア半島にある「西アジア」である。
◇ 石油・天然ガス等の天然資源に恵まれず、人的資源の底上げに力をいれ、義務教育を延長している。
◇ 年間100万人の人口増、平均年齢30.7歳の若い人口構成で伸びている。平均年齢は、独・日本は45-46歳、韓国・ロシアは39-40歳、中国は36歳。出生率2.0以上。平均結婚年齢も男性26.7歳、女性23.5 歳。
◇ 女性就労者数は2008年に630万人 ⇒ 2013年には860万人と5年で37%増えている。


(2) 経済概況
◇ GDPは世界で18位、一人当たり約9,261米ドル。耐久消費財が売れ始める水準に達しており購買力が高い。一人当たりGDP1万ドルに少し足りないが、1万ドル以上の国でみると人口規模でアメリカ、ブラジル、ロシア、日本、ドイツに次いで世界6位。
◇自動車と電機が主要産業。他に、鉄鋼、化学・製薬、食品、機械、繊維・アパレルなど、産業の裾野は大きい。欧米企業が生産をトルコへシフトし、組立て拠点から部品生産や開発拠点へ。GE、ダウ・ケミカル、3Mなど。
◇二国間協定
EUと関税同盟あり、一部の農産物を除き関税はゼロ。EU以外には24カ国と自由貿易協定(FTA)を締結済。日本とはFTA締結に向けて交渉会合中。
◇主要貿易相手国
EU向けシェアは44% (2014年)、中東・北アフリカ・米国・中南米・アジア等へ拡大中。


<トルコ経済の強みと課題>
強み
■ 戦略的な立地。中東、欧州、中央アジア等との接点。地域販売拠点。
■ 有利な人口構成(労働人口が増加、若者が多く消費性向が高い)+人口増。
■ 生産コストが低い(平均して欧米・日本の1/2〜1/3程度、地域にもよるが)
■ EUとの関税同盟。ビジネス面では欧州スタンダードを導入。
■ 欧州企業を中心に生産拠点設置が加速
■ 41,500社を超えるグローバル企業が活動(日本からは218社進出)
■ 中間層の所得水準が拡大中。中小企業育成方針のもと地方の底上げ。
■ 海外からの強い投資意欲


課題
■ 政治・政情の安定と治安リスクの低減化
■ 経常収支赤字への対応と所得水準上昇に伴うコスト水準上昇への対応
■ 貯蓄率の上昇。投資資金を国内で調達。
■ 高付加価値産業へのシフト。自国ブランド製品の確立。高付加価値部品産業の誘致。
■ 研究開発投資。理系を中心とした教育レベルの向上。
■ インフラ整備、電力需要への対応。


(3) 日系企業のトルコ進出動向
自動車や自動車部品等の製造拠点であったトルコは、最近は食品分野など内需の好調や設備投資の活発化を背景に販売拠点も増えている。2015年には、2020年の東京五輪を見据え、ホテルオークラがトルコに進出するなど状況が変わってきている。2014年7月の日経BPによる出版社の買収などもその例である。もちろん、メーカーにとっては、トルコを基点に周辺地域への展開を目論んだ工場を保有する企業を買収するなど生産・輸出拠点設立を目指す企業が多い。

日本とトルコは強固な関係にある。2013年には安倍首相がトルコを2回訪問、2014年にはエルドアン首相が日本を訪問、1年で3回の首相の訪問はかつてない。日本トルコ友好125周年を記念して、2015年11末には日本トルコ合作映画「海難1890」がトルコで封切られ、12月には日本で上映となった。

トルコの強みはこれまで見てきた通り以下の三つが挙げられる。
1) 販売拠点として
2) 生産拠点として
3) 地域のハブ拠点として